DPP-4阻害薬とは?効果・効能、副作用は?【糖尿病の飲み薬】

薬物療法 インスリン

DPP-4を阻害することにより、インスリンの分泌を促進するDPP-4阻害薬

 ジペプチジル・ペプチターゼⅣ阻害薬(以下DPP-4阻害薬)という言葉を聞いたことありますでしょうか。
DPP-4阻害薬はその名の通り、DPP-4を阻害することにより、インスリンの分泌を促進する薬になります。

しかしながら、これだけではおそらく「風が吹けば桶屋が儲かる」的な話に聞こえてしまうと思います。

今回はDPP-4阻害薬がどのようにしてインスリンを分泌するのか解説していきたいと思います。

インクレチンとは

DPP-4阻害薬にとって重要な存在になるのがインクレチンです。

インクレチンとは食事摂取に伴い腸管内分泌細胞から分泌され、膵臓ランゲルハンス島β細胞(以下膵β細胞)のインスリン分泌を促進する働きを持っているホルモンの総称です。

インクレチンは糖質や脂質、アミノ酸などの栄養素の刺激により分泌されるため、効率よくインスリン分泌を促進することができます。
インクレチンには主に上部小腸に存在するK細胞から産生されるGIPと、主に下部小腸に存在するL細胞から産生されるGLP-1の2種類が確認されており、両方とも膵β細胞に働きかけインスリンの分泌を促進します。

これらのインクレチンはインスリン分泌促進以外にも様々な作用をもち、たとえば膵臓ランゲルハンス島α細胞に対しては、GIPはグルカゴン分泌促進、GLP-1はグルカゴン分泌抑制と異なる作用を持ちます。
通常、GIPは栄養素摂取早期(およそ10分)から分泌され、長時間にわたって血中濃度が維持されます。

対して、GLP-1も栄養素摂取早期から分泌されますが、血中濃度は緩やかに減少していきます。

Ⅱ型糖尿病患者ではGIPに対する感受性が低下しているため、GLP-1の作用が重要と考えられています。

インクレチンとインスリン分泌

インスリン分泌において、もっとも強い要因は血中グルコース濃度の上昇です。
通常、血中グルコース濃度が上昇すると、膵β細胞表面に存在する糖輸送担体(GLUT2)により細胞内にグルコースが取り込まれ、解糖系、TCA回路、電子伝達系を経てATPを産生します。

細胞内のATP(アデノシン三リン酸)濃度が上昇するとATP依存性K+チャネルが閉口し、細胞膜を脱分極させることにより、電位依存性Ca2+チャネルが活性化します。

その結果、細胞内のCa2+濃度が上昇し、インスリンの分泌が促進されます。

一方で、インクレチンは膵β細胞内のcAMP(環状アデノシン一リン酸)濃度を上昇させることにより、インスリンの分泌を促進させます。

GIP、GLP-1ともに、膵β細胞表面に存在するGIP/GLP-1受容体に結合することにより作用します。

GIPもしくはGLP-1が受容体に結合すると、アデニル酸シクラーゼが活性化しATPからcAMPを合成することにより細胞内cAMP濃度を上昇させます。

cAMPの上昇を介して、PKA(プロテインキナーゼA)やcAMP-GEF活性が亢進され、インスリンの分泌開口放出が増加するので、インスリン分泌が促進されます。

DPP-4阻害薬の作用

インクレチンは消化管から生成され、血中に分泌されますが、実際に体内ではDPP-4により数分以内に分泌されてしまいます。
したがって膵臓に作用するインクレチンは生成された量の一部しかありません。

DPP-4阻害薬は、DPP-4の働きを阻害することによってインクレチンの分解を抑制します。

それにより膵臓に作用するインクレチンの量が増加し、結果としてインスリンの分泌が促進されるわけです。

またDPP-4阻害薬が示すグルカゴンの分泌抑制作用も非常に重要であり、肝臓からの糖の産生を抑えることができます。

副作用

インクレチンは血糖依存的にインスリンの分泌を促進するため、単体投与では低血糖や体重増加は生じにくいとされています。

しかしながら、血糖に関係なくインスリン分泌を促進するスルフォニル薬(SU薬)との併用で、重篤な低血糖を生じる可能性があるため注意が必要になります。

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