スルフォニル尿素薬(SU薬)とは?効能・効果、副作用は?【糖尿病の飲み薬】
インスリンを分泌させる?スルフォニル尿素薬(SU薬)とは?
インスリンという言葉を耳にしたことはあるでしょうか。
糖尿病を解説する上において、インスリンの存在は欠かせません。
インスリンは、簡単にいうと体内の血糖値を下げる働きをするホルモンです。
食事などにより血糖値が上昇すると、このインスリンが膵臓のβ細胞から分泌され、各々の臓器に作用することにより、血糖値を正常な範囲に維持しています。
しかし、なんらかの原因でインスリンがうまく分泌されないと、血糖値が上昇したままになり、糖尿病になってしまう可能性があります。
スルフォニル尿素薬(SU薬)は、このような状況において膵臓β細胞に働きかけ、インスリンの分泌を手助けする薬です。
今回はスルフォニル尿素薬(SU薬)がどのようにインスリン分泌を促進するのか解説していきたいと思います。
通常(健康状態)でのインスリン分泌
血液中のグルコース(糖)濃度が上昇すると、膵臓のβ細胞の表面にある糖輸送担体2(GLUT2)によって細胞内にグルコースが取り込まれます。
取り込まれたグルコース(糖)は細胞質基質で解糖系の働きによりピルビン酸になり、さらにピルビン酸がミトコンドリアと呼ばれる細胞小器官に取り込まれ、TCA回路、電子伝達系を経て、ATP(アデノシン三リン酸)が合成されます。
細胞内でATPの濃度が上昇すると、細胞表面に存在するATP依存性のK+チャネルが閉口し、細胞内からのK+の流出を防ぐようになります。
その結果、細胞内で脱分極が生じ、細胞膜上にある電位依存性のCa2+チャネルが開き、Ca2+が細胞外から細胞内へ流入してきます。
細胞内のCa2+濃度が上昇すると、インスリン分泌顆粒が開口し、インスリンが分泌されるようになります。
スルフォニル尿素薬(SU薬)によるインスリン分泌
スルフォニル尿素薬(SU薬)は、細胞表面にあるATP依存性K+チャネルに結合することによってK+チャネルを閉鎖します。
すなわち、細胞内のグルコース濃度上昇を伴うことなくATP依存性K+チャネルを閉鎖することになります。
あとのメカニズムは通常のインスリン分泌と同様であり、脱分極、電位依存性Ca2+チャネルの開口、細胞内Ca2+濃度の上を経ることにより、最終的にインスリンが分泌されます。
副作用
スルフォニル尿素薬(SU薬)を投与すると、血糖値が高くなくともインスリンを分泌してしまうため(細胞内へのグルコースの取り込みを必要としないため)、低血糖を引き起こしてしまう可能性があります。
万が一に備えて、砂糖やブドウ糖もしくは糖類の多い食物を携帯する必要があります。
またインスリンには、血糖値を下げるために脂肪細胞への糖の取り込みを促進させる働きもあります。
したがって、スルフォニル尿素薬(SU薬)を使用している間にエネルギーが過剰の状態にあると、脂肪細胞の肥大が生じ、体重が増加する可能性が高くなります。
さらには、空腹時に低血糖状態になりやすいので、間食が増えることによって体重が増加することもあります。
またスルフォニル尿素薬(SU薬)で有名な副作用の一つに二次無効というものがあります。
薬の使用当初から効果が不十分な場合を一次無効というのに対し、一度十分な効果を得ていたのにもかかわらず、徐々に効き目が悪くなっていくことを二次無効といいます。
原因としては、食事療法・運動療法の不徹底や膵臓β細胞の疲弊などが考えられます。
スルフォニル尿素薬(SU薬)はⅡ型糖尿病にしか効かない?
スルフォニル尿素薬(SU薬)はその作用からもわかるように、膵臓のβ細胞に働きかけ、インスリンの分泌を促進させます。
Ⅰ型糖尿病では、Ⅱ型糖尿病とは異なり、ウィルス性の自己免疫などにより膵臓β細胞自体が破壊されてしまうため、スルフォニル尿素薬(SU薬)は効きません。
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