グリコヘモグロビン検査とは?【糖尿病の検査方法】
比較的長期的な平均血糖値を反映する指標の一つがグリコヘモグロビン(HbA1c)
糖尿病の診断はたった一つの項目ではなく、様々な角度から何段階かの検査を経て総合的に判断されます。
その中でも当然ながら血糖値は非常に重要な検査項目となるのですが、検査時の一時的な血糖値ではなく、比較的長期的な平均血糖値を反映する指標の一つにグリコヘモグロビン(HbA1c)があります。
今回はこのグリコヘモグロビンに関して解説していきたいと思います。
そもそも糖尿病って?
検査項目の話の前に糖尿病について軽くおさらいしたいと思います。
糖尿病とは体内の血糖値のコントロールができなくなり、慢性の高血糖になってしまう疾患です。私たちの体はエネルギー源として常にグルコース(糖)を必要としているわけですが、体内におけるグルコース濃度の維持の方法の一つが食事です。
食事によりグルコースを取り込むと、血中のグルコース濃度(血糖値)が一時的に上昇します。
血糖値が上昇すると膵臓のランゲルハンス島β細胞からインスリンというホルモンが分泌され、血糖値を下げる(血中の糖を各組織に取り込む)ように働くのですが、何らかの原因でインスリンがうまく作用しなくなってしまうと血糖値が上昇したままになり、糖尿病になってしまうわけです。
・グリコヘモロビン(HbA1c)とは?
グリコヘモグロビン(HbA1c)とは糖尿病診断の指標に使われる項目の一つですが、一体何を表しているのでしょうか。
国際臨床化学連合(IFCC)によるとグリコヘモグロビンは「β鎖N末端のバリン安定的に糖化されているヘモグロビン」と定義されています。
つまり、ヘモグロビンに糖がくっついたものと思ってください。
ヘモグロビンは赤血球における赤色色素として有名ですが、血糖値が高いと過剰なグルコース(糖)がヘモグロビンに結合してしまいます。
グリコヘモグロビンはおよそ過去二か月間の血糖値の平均を反映します。
よって検査の数日前から食事を控えた、もしくは暴食した場合にも影響がほぼ生じません。
日本の糖尿病の基本方針によると血糖値との兼ね合いもありますが、5.6%以下なら普段の血糖値が正常の範囲内、5.6~6.4%なら時々血糖値が高め、6.5%以上なら糖尿病の疑いが強くあると考えられています。
グリコヘモグロビンと糖尿病合併症の頻度には相関があることが知られており、特に7.0%以上の場合は細小血管障害の頻度が上昇することが明らかになっています。
またグリコヘモグロビンの値はあくまで平均値を示すものなので、値が正常域だからといって必ずしも糖尿病の疑いがなくなるわけではありません。
高血糖と低血糖を繰り返している可能性があることにも注意しておく必要があります。
平均血糖値を示す指標
平均血糖値を示す指標はグリコヘモグロビン以外にも糖化アルブミンや1,5-AGなどが存在します。
糖化アルブミンはアルブミンというたんぱく質にグルコース(糖)が結合したもので、アルブミンの代謝半減期が約17日であることから、過去およそ2週間の血糖値の平均を反映するものと考えられています。
1,5-AG(アンヒドログルシトール)はグルコースに似た構造を持つ物質で、主に食物として体に摂取されます。
正常なら尿細管でほぼ全てが再吸収されます。
しかし、グルコースの血中濃度が増加し尿中に排泄されるようになると、1,5-AGはグルコースと似た構造であるため、拮抗阻害を受け、血中の1,5-AGの濃度は低下します。
すなわち、グリコヘモグロビンや糖化アルブミンとは異なり、1,5-AGの値は高血糖である時に低下し、およそ過去1週間の平均血糖値を反映します。
糖化アルブミンと1,5-AGはどちらにせよ、グリコヘモグロビンより短期間の評価指標として有用になります。
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