柴苓湯は一般的に下痢や胃腸炎などに効くとされている漢方薬
糖尿病は簡潔にいうと体内において血糖のコントロールができず、慢性の高血糖となってしまう疾患ですが、その症状や合併症は個人差が大きく様々なものがあります。
糖尿病自体の治療は当然行わなければならないのですが、それに伴う体調不良や細かい症状のような場合には漢方薬がとても役に立ちます。
今回は一般的に下痢や胃腸炎に効くとされている柴苓湯について解説を行っていきます。
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柴苓湯の構成生薬と効能
柴苓湯は一般的に下痢や胃腸炎などに効くとされている漢方薬であり、基本的にはあまり虚弱しすぎていない患者に対して処方します。
咳や痰などの風邪の症状対しても適応があります。
① 柴胡(サイコ)
柴胡は鎮痛、解熱、ストレス潰瘍予防、胃液分泌抑制、抗炎症、抗アレルギーなどの効能を持つ生薬で、主に頭痛やめまい、耳聾、月経不順、子宮下垂などに適応があるとされています。
精神神経用薬、消炎排膿薬、痔疾病用薬などの漢方処方に配合されます。
② 黄ごん(オウゴン)
黄ごんは利尿、抗炎症作用を示し、高熱による煩わしさ、肺の炎症による咳、下痢、黄胆、排尿障害、鼻血、化膿性の腫れものなどに適応を持ちます。
健胃消化薬、整腸薬、解熱鎮痛消炎薬、止血薬、高血圧症薬とみなされる漢方処方にしばしば配合されます。
③ 半夏(ハンゲ)
半夏は湿を除き、去痰を促す作用のある生薬で、胸の奥からつき上げるような嘔吐・咳を止める薬能があります。
嘔、頭痛、痰、めまい、頭痛などに対し適応をもち、鎮咳薬、鎮嘔鎮吐薬、健胃消化薬など漢方処方に灰蔵されます。
④ 人参(ニンジン)
人参は強壮薬として多くの場面で用いられる生薬で健康食品としても用いられています。
疲労や食欲不振をはじめとして、けいれん発作、頻尿、めまい、健忘症、倦怠感、小児のひきつけなどに適応があります。
健胃消化薬、整腸薬、鎮痛鎮痙薬、補気薬、強壮薬として様々な漢方処方に配合されています。
⑤ 甘草(カンゾウ)
甘草は円柱状で赤褐色を呈する生薬で、1mほどの長さに達します。
鎮咳薬、去痰薬、鎮痙薬、消化性潰瘍治療薬、整腸薬などとして用いられることもありますが、味を調える甘味料として処方されることもしばしばあります。
また大量摂取すると偽アルドステロン症を引き起こすことがあるので注意が必要です。
⑥ 生姜(ショウキョウ)
芳香性健胃、妊娠期や乗り物酔いなどの吐き気の改善を目的として利用する生薬になります。
風邪薬、健胃消化薬、鎮吐薬鎮痛薬とみなされる漢方処方に配合されています。
⑦ 大棗(タイソウ)
大棗は赤い果実を持つ生薬で、脾胃を整え、精神安定作用をもたらします。
食欲不振、神経症による同期・不安、婦人のヒステリーなどを適応とし、かぜ薬、健胃消化薬、鎮静薬とみられる漢方処方に配合されます。
⑧ 猪苓(チョレイ)
猪苓は口渇を止め、利尿を促進することで湿を除く薬効があります。
小便不利、水腫、下痢、脚気などに適応を持ちり、主に利尿薬とされる漢方処方に配合されます。
⑨ 茯苓(ブクリョウ)
茯苓は塊状で、重さが0.1~0.2kg程になる生薬で、利尿作用や抗炎症作用を示します。
水分代謝を促し、胃腸の働きを助け、さらには精神を安定させる薬能もあります。
尿の出が悪いもの、水腫による張り・むくみ、胃内停水、嘔吐、水様性下痢、精神不安による痙攣、健忘症などに適応があります。
健胃消化薬、整腸薬、利尿薬、鎮痛薬とみなされる漢方処方に高頻度で配合されます。
⑩ 蒼朮(ソウジュツ)または白朮(ビャクジュツ)
蒼朮は脾胃の機能を高め、湿を除く薬能がある生薬で、食欲不振や嘔吐、下痢、痰飲、水腫などに適応を持ちます。主に関節痛・筋肉痛などの鎮痛薬、健胃消化薬、整腸薬、利尿薬などに配合されます。
白朮は脾胃の機能を高め、湿を除き、健胃・利尿・鎮静などの薬能を持ちます。
消化器系が弱い虚弱体質、食欲不振、倦怠感、腹部膨満感、下痢、胃内停水水腫、関節炎、神経痛、めまいなど多くの症状に対して適応を持ちます。
主に健胃消化薬、整腸薬、利尿薬、鎮痛薬などに配合されています。
⑪ 沢瀉(タクシャ)
沢瀉は中国を産地とする生薬で、利尿作用による水分代謝を促進させます。
水腫、小便不利、嘔吐、下痢、淋病、血尿などに適応があるとされ、柴苓湯以外には五苓散、当帰芍薬散、茯苓沢瀉湯のような利尿止渇薬、尿路疾患用薬、鎮暈薬とみなされる漢方薬に配合されています。
⑫ 桂皮(ケイヒ)
桂皮は半管状もしくは管状で5~50㎝ほどの生薬です。発汗作用や抗アレルギー作用、殺菌作用を示し、頭痛や四肢・関節の痛み、生理不順などに効果があるとされています。
主に芳香健胃薬として消化不良や食欲不振を適応として漢方薬に配合されます。
・柴苓湯の副作用
柴苓湯の副作用としは、間質性肺炎や偽アルドステロン症があります。
間質性肺炎の初期症状としては息切れ、咳、発熱、偽アルドステロン症の初期症状としては倦怠感、低カルシウム血症、手足のしびれ、体重増加などがあります。
またアレルギー症状として食欲不振や湿疹、吐き気、下痢などを生じることもあるのでこれらの症状があらわれた場合にはただちに柴苓湯の服用をやめ、病院や医療機関にかかるようにしましょう。
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